大人というもの

「ゲームばっかりしてないで、勉強しなさい」
TVゲームにはまる子供を持った親なら、何度も口にしたであろうこの言葉。
矢神はこれを、無責任な発言として捉えているが、どうなのだろうか。

一昔前なら、子供たちは外で遊ぶことが多かった。野球をしたり、サッカーをしたり……
しかし最近は外で遊ばず、家でTVゲームをしている子供が増えている。
その原因が、「遊ぶ場所がない」ことだ。
高度な文明の証として、あちこちにビルや道路等を造り、それまで子供たちの遊び場であった空き地だとか、そういった場所を奪ってしまったのだ。
外で遊べなくなった子供たちは、家で遊ぶ方法を考えた。その結果いきついたのが、TVゲームである。
外で遊ぶことよりも遥かに手軽で、自分は何もしなくとも全く未知の世界へと連れて行ってくれるTVゲーム。
それを子供たちに与えたのは、紛れもない大人たちだ。

外で遊ぶ場合、大抵は仲間が必要となる。
一人で野球をしたって、壁に向かってボールを投げることしか出来ない。
だが、TVゲームは一人でも出来る。しかもTVゲームは、家の中にある。
この手軽さ、人数を必要としない部分が、子供たちにとって誘惑となる。
ならばその誘惑を取り除けば良い、とすぐに結論付けるのが大人の悪い部分だ。
子供は大人以上に繊細であり、ストレスも感じやすい。
子供たちは溜まったストレスを遊ぶことによって発散している。それと同時に様々なことを学んでいる。
もし子供から遊びを奪ったらどうなるだろうか。遊びを奪えば、勉強するのだろうか。
答えは否だろう。
子供にストレスを与え、親へ疑念の意を抱かせることに繋がる。矢神はそう考えている。