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仮面ライダーといえばウルトラマン、スーパー戦隊シリーズとならんで日本を代表するヒーローであることはあまりヒーローに詳しくない方にも知られています。
ちょっと詳しい人ならメタルヒーローとか、最近の人であれば超星神シリーズとかも挙げるのでしょうけど、まぁ話題はそういったことではありません。

仮面ライダーは大きく分けて昭和ライダーと平成ライダーに分かれます(細かく分けるとBLACKとBLACK RXで構成される元年ライダー、真、ZO、Jの劇場ライダーもありますが)。
この昭和ライダーと平成ライダーを見比べると、大きな違いがあることに誰もが気付くでしょう。

この記事ではその相違点から見る社会の変化を考察したいなぁ、と思います。

1・改造人間

昭和ライダー、元年ライダー、劇場ライダー全てに共通するのは皆改造人間であることです(1名だけ例外はいますが)。
対する平成ライダーは、改造人間ではありません。しかもその種類は多岐に渡り、古代の力による変身(クウガ)、超能力による変身(アギト)、強化スーツなどのシステムによる変身(龍騎、ファイズ、ブレイドなど)、身体を鍛えることによって会得した変身能力(響鬼)などなど。
なぜ平成ライダーは改造人間ではないのか。
平成ライダー最初の作品といえばクウガなのですが、実はこの作品が作成される前に原作者の石ノ森章太郎先生がご他界されました。クウガ第1話の冒頭に「この作品を故石ノ森章太郎先生に捧げる」のような文章があるように、元々は石ノ森先生の冥福を祈るために作られたのです。
それ以降作品が続いたのは、丁度クウガの放送が終了した年が仮面ライダー生誕30周年に当たる年で、仮面ライダーの復活を記念し、シリーズ化したという背景があります。

話を戻してクウガを製作する際、製作陣には「仮面ライダーは改造人間でなければならないのか?」という議題が上っていました。
そしてその結論が「改造人間である必要はない」ということだったのです。

話は遡って、何故仮面ライダーが改造人間だったのか、についてお話します。
これは矢神が語るより、石ノ森先生本人のお言葉をお借りしたいと思います。
(以下の文章は講談社発行「仮面ライダーSPIRITS1巻」に収録されておりました)

『ショッカー』とは歪んだ技術文明の象徴である。その技術の付加によって誕生するのが『仮面ライダー』だ。後には自然の守護神(平和の戦士)になるが、言うなれば"技術文明の申し子"あるいは鬼っ子のモンスターである。したがって、こうなる。自然(バッタによる象徴)が直接人間(文明の象徴)に反旗を翻すのではなく『仮面ライダー』(バッタと人間のハーフ)、即ち自然と人間が協力して"悪"に立ち向かう……。自然と上手に共生する事が人間の叡智。『仮面ライダー』こそが"真の文明"のシンボルなのだ。

つまり、仮面ライダーには「人間と自然の共生」のメッセージが含まれていました。
文明の中にも自然を忘れずに。上手く自然とつきあいながらこの地球で生きていこう。そういうことです。
仮面ライダーを見たことのある人ならば分かると思いますが、ショッカー怪人は皆共通して生物をモチーフに作られています。
また、「自然と文明」という2つを顕著に表してきたのが仮面ライダーV3に敵組織デストロンで、この怪人が「生物+道具」をモチーフとしています。
例を挙げれば、風貌は亀だけど甲羅からバズーカが突き出ている「カメバズーカ」、右腕に協力な磁石を備えた「ジシャクイノシシ」などなど。稀に純粋に動物のみをモチーフとしたものもいますが、総じて「生物+道具」の形が多いわけです。
では、ショッカーが「歪んだ技術文明」ならば、そこから生まれた怪人たちはどうなるのか。
これこそが「歪んだ文明+自然」の構図で、環境汚染の進んだ現在の地球を表しています。
今の世界と仮面ライダーの世界を重ねるのならば、現在の地球は"ショッカーに支配された地球"と考えてもいいでしょう。

さらに追求します。
改造人間ではない平成ライダーは何なのか?
答えは、「石ノ森先生が関与していない点から考えても、もはや仮面ライダー本来のメッセージは込められていない、元年ライダーまでとは全く別のものである」としか言いようがない。
では、平成ライダーには最早石ノ森先生のメッセージは全くないのか、といえばそうとも言い切れない。
少なくとも、以下の3作品には石ノ森先生のメッセージに近いものをはらんでいるように思える。

・クウガ&ブレイド
クウガは元々古代の戦士である。また敵も古代のものであり、現代の人間を殺すゲームを始める。
「自然に溢れた過去からの、現代に対する警鐘」と受け取ることも出来よう。
(そういった意味では、近いものとしてブレイドがある)

・響鬼
最もライダーらしくないライダーではあるが、敵は簡単に考えると妖怪である。
妖怪は自然から生まれるものがほとんどであり、響鬼も身体を鍛えることから得た変身能力であるから「超自然的ライダー」といえる。
ここから「自然に対抗出来るのはやはり自然である」というメッセージが見て取れる。

それ以外の平成ライダーは、時代の流れに負けてしまった作品、と矢神は考えている。


2・ストーリー展開

「(昭和の)仮面ライダーってどんな話か知ってる?」と尋ねると、「ライダーがショッカーをぶっ飛ばす話」と返ってくることがほとんどだ。
「もっと詳しく知らない?」と重ねて言うと、「え、それだけじゃないの?」という返事が多い。
そして相手の返事をまとめて、「じゃあ仮面ライダーはストーリー性のない、単なる勧善懲悪だと思うんだね?」といえばたいてい相手は頷く。
このやり取りは矢神の経験上の話であり、相手がライダーに関する知識があまり多いとは言えない数人に尋ねたものだ。
これは決して間違っていない。
昭和ライダーはオムニバスのものがほとんどであるからだ。

では平成ライダーはどうか。
「ストーリーが重い」「何だか暗いイメージがある」「ヒーロー同士で戦う」
そんな意見が多く、これも間違ってはいないと思う。

言い切ってしまうと、昭和ライダーは単純で、平成ライダーは複雑なストーリーだ。
何故このように変化したのか。それは視聴者ターゲット層が変わったからである。

昭和ライダーは子供に見せるために作られていた。
「正義は必ず勝つ」という構図を子供達に教えようとしていたわけだ。

しかし最近は少子化が進み、また子供達もヒーローから離れていっている。
この「離れていっている」というのは、(これは矢神の推論だが)子供達が「ヒーローなんているわけない」と割り切るようになってきたからだ。
ここには恐らく、科学技術の発達が原因として存在している。
幼稚園児にも「神様なんていない」とか、「幽霊なんていない」とか言い切る子が増えているのだ。科学の発達によって様々なことが発覚していく世の中で、「目に見えるものだけが真実だ」と思い込む子供達が増えていると考えられる。

昔は「大きくなったらウルトラマンになりたい」とか、「きっとライダーが助けに来てくれるもん!」とか言う子供達も大勢いたのだが、時代の流れとともに大分減ってきてしまったようだ。

今の子供達は「ライダーなんていない」→「ライダーなんて見ても仕方がない」と考えるようになってきているようだ。

ここまでが矢神の推論だが、少なくとも子供達からの視聴率は下がってきているのは事実だ。そうなると、番組を存続させるために必要な視聴率を確保するためになんらかの対処をしなければならない。
そこで、ターゲットを変えるのである。
ターゲット年齢層を引き上げ、さらにストーリー性を持たせるため内容も重くなる。関係ないかもしれないが、女性からの視聴率も集めるためイケメン俳優を起用する。
平成ライダーは、時代の流れに流されてしまったのかもしれない。


……さてさて、非常に長くなってしまった。
本当はまだまだ考察したい点はあるけども、今回はこれくらいにしておこう。
明日入試だし、ね(苦笑)
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布乃伊奴
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男性
誕生日:
1990/05/14
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特になし
自己紹介:
三次元未確認人型無気力生命体。
他者の作品を嫌うことで、「自分オリジナル作品」を目指している……らしい。
小説等の作品を紹介されることを極端に嫌う。
それにより、時折機嫌を損ねて手近な紙を引き裂き続けることも。
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